当店ブログをご覧いただきまして誠にありがとうございます。
今回ご紹介するのはMercedes Benz 500E(W124)です。
ググってみたところ日本での人気から総生産台数の3分の1が日本に輸入されたとか。
W140のSクラスは触ってみたことがあり、500Eもいつかは触ってみたいと思っていました。
かつてカービューティープロスクールでフィルム施工を受講の際に触ってみたことがあったのですが、それはガラスに対してでして、ボディーに関する検証はW140のみ。


ご入庫いただきましてどんな問題が待ち構えているのか!一気に気合が入ったのは言うまでもありません。

塗装表面は浅いデポジットが広がっています。
硬いと言われるベンツの塗装も、さすがに四半世紀すぎると密度も広がり脆弱化し出します。
洗車時、割と効き目ある撥水はしていましたが、それがひょっとするとデポジットの原因になっていたのかもしれません。


鉄粉除去まで済ませて磨き前、塗装の状態は?スポットライトを当てます。
凄まじいスクラッチが発生していました。
これもトラップパットで擦った痕跡もあるのですが、それだけ塗装表面が弱くなっているということです。
ここでどう攻略するか、一人作戦会議です。
その間に、右後部ドアのデントリペア。


ツートン境目のちょい上に凹みがあり、これを修理していただくためスイングクラフトさんにヘルプをお願いしました。
神の手を見ては感心する作業、今回はIH(IHコンロと同じ仕組み)の装置にて作業開始。
ですがよく見ると鈑金の痕跡もあり、サイドアンダーパネルの内部まで凹みが続いているため全てを引っ張り出すことができませんでした。
過去に何をしているのはわからない痕跡、一見単なる凹みのようで、実は鈑金塗装されており、場合によってはパテで面を出している場合もあるため僅かな凹みだから治せるとも言い切れないのです。

そこを見極めるにはまだまだジャッジメントとしての経験が足りませんでした。
次は仕事として依頼いたします。
デントは終わり磨きに入ります。


水も吸ってしまう塗装、何を言っているのかわからないと思います。
細部洗浄は強アルカリ、または強酸で行うのですが、パネルの洗浄にも使用することがあります。
使用することでカルキ類も除去でき、それも下地処理の一つとなります。
このお車の場合、水を吸いやすい塗装になった証が画像の状態。
シミはケミカルを塗装が吸収したことで痕跡として残りました。
水を吸いやすい塗装であってもコーティングをすればそれもある程度抑制することができます。
そのコーティングをケミカルで剥離してしまえば簡単に吸収できる状態になる。
それを表面処理から整えて耐性を作るのも私の仕事と言っても良いでしょう。




それとマスキングに至っては最低限です。
これだけ弱くなった塗装、磨きでもこれだけ粉を吹く。
ドアの隙間を塞ぐほどのマスキングをすると塗装の段がつく。
加えて詰まったコンパウンドの油分で塗装が隆起する。
特に脆くなった塗装はマスキングテープの粘着だけでも表面状態がおかしくなります。
必要最低限ならばそれら全てのリスクを背負わずすみます。
加えてクリアを抜かない磨き方もテクニックになります。


そして完成。
磨きから始まる下地処理は2工程。
脱脂後、コーティング前のベースコート1工程、そしてPCX-S7施工。
硬化後、フッ素コートでオーバーコート。
最後に撥水テストを行い仕上げにシリコーン系トップコート。
一体なん工程入れたのか、耐水対策、防汚性対策。



あの傷が嘘のようい綺麗なパネルになりました。
決して傷を埋めたのではありませんよ!
どこかは傷を埋めるなどと一生懸命図解を用いて解説してますけど
埋めても埋まったものは塗装じゃないのでw


いとも簡単に研磨できてしまうとそうになると、反り返る塗装の部分は圧がかかり塗装を曲げてしまう恐れあり。
ここに至っては慎重に作業いたしました。

今ではカバーで覆われる場所。面積の狭い部分も同様研磨が難しい。
これらを整えるのは全てテクニックになります。
能書きはこれくらいにして完成画像を全て公開。





最後に一つ

新車当時に貼られていた養生フィルム、25年の時を経て断片が残っていたのですが、それらも全て除去。
すっきりしました。








今回は施工も撮影も気合が入りました。
後世に残すべき名車、施工できて光栄でした。
これからも大切にお乗りください。
ありがとうございました。